Nolaと比べる小説執筆ツール
この記事はTypeTakチームが書きました。比較の対象に自社の製品が含まれているので、その点を踏まえてお読みください。そのぶん公式の資料を根拠にし、どのツールにも偏らないよう心がけました。価格と機能は2026年10月時点の各サービスの公式ページとアプリストアの案内にもとづいており、今後変わる可能性があります。価格はドルで載せ、日本のサービスであるNolaだけ円で載せています。比較表の「—」は、公式の案内で確認できなかった機能です。
Nolaとは?
Nola(ノラ)は、株式会社indentが運営する作家専用の執筆ツールです。原稿を書くだけでなく、作品のテーマ、プロット、登場人物や世界観の資料まで、ひとつの作品に必要なものをまとめて保存します。2018年に始まり、いまでは68万人を超える書き手が使っています。
iPhone、iPad、Androidのアプリと、PCのブラウザで使うWeb版があり、どの端末で書いても原稿はクラウドに保存されて同期します。保存と同期は無料です。書いた作品を読者に公開する小説投稿サイトのNolaノベルや、公募への応募、商業化を手伝う機能も同じ運営元が用意しています。
書き手がNolaを使う理由
無料でスマホとPCを行き来する — Nolaは、無料のままでも原稿がクラウドに保存され、スマホ、PC、タブレットで同じ原稿が開きます。アプリ版はオフラインでも書けるので、電車の中ではスマホ、家ではPCといった書き方ができます。
書く前に作品の骨組みを決める — 作品ごとにテーマとゴール、起承転結のプロットを書いておけます。登場人物は性格やプロフィールを保存し、顔などのパーツを選んでイラストも作れます。
「キャラクターを、それもイラストなどをつけて設定出来るのがいいです!」
— NolaのApp Storeレビュー
書いたあとの出口がある — 応募タブからコンテストに応募したり、Nolaエージェント機能をオンにして、運営のエージェントチームに出版社への営業を任せたりできます。
ここからは、Nolaを、自社製品のTypeTak、スマホで長編を書くための無料アプリNovelist、長編向けの執筆ソフトとして知られるScrivenerと並べて比べます。比べるのは、原稿の執筆、設定とプロット、スマホとPCでの保存と書き出し、AIの4つと料金です。
1. 原稿の執筆
| 機能 | Nola | TypeTak | Novelist | Scrivener |
|---|---|---|---|---|
| 縦書きで原稿を確かめる | 縦書きプレビュー | PDF · EPUBを縦書きで書き出す | ||
| 文字数を数える | 原稿一覧に残りの文字数 | 原稿用紙換算の枚数も | 日ごとに書いた量 | |
| 分量の目標を決める | 執筆予定文字数 | 執筆プランに文字数 | 分量 · 締め切り | 原稿全体 · その日の分量 |
| ルビ・傍点を打つ | ショートカット(|《》) | |||
| 執筆画面を自分好みに変える | レイアウト · ツールバー | ツールバー非表示 · タイプライターモード | Compositionモード | |
| 誤字や文法をチェックする | 校正・校閲(AI) |
毎日のように開く画面なので、書いている最中に邪魔が少なく、今日どれだけ書いたかが見えるほうが続けやすくなります。4つとも文字数を数えます。
縦書きで読む — 日本語の小説を書くなら、縦書きで読み返したい場面があります。Nolaは原稿を縦書きでプレビューし、本の形に近い見た目で確かめられます。TypeTakの編集画面は横書きで、PDFとEPUBに書き出すときに縦書きを選べます。
投稿サイトの記法で書く — TypeTakでは、ルビ|本文《よみ》と傍点《《本文》》をショートカットで打てます。文字数はルビの読みを除いて数え、エディタの下で原稿用紙換算の枚数も確かめられます。1枚を何文字とみなすかは設定で変えられます。
分量を管理する — 毎日書く量を決めて進めるなら、ScrivenerとNovelistが便利です。Scrivenerは原稿全体とその日の分量に目標を決め、Novelistは分量の目標と締め切りを決めて、日ごとに書いた量を数えます。Nolaは作品ごとに執筆予定の文字数を決めておくと、原稿一覧に残りの文字数が出ます。
2. 設定とプロット
| 機能 | Nola | TypeTak | Novelist | Scrivener |
|---|---|---|---|---|
| 章や場面に分けて書く | 原稿一覧 · グループ | 原稿 · 章 · ページ | 幕 · 章 · 場面 | Binder |
| 人物・世界観を項目にまとめる | 登場人物 · 世界観 · アイテム | ワールド | プロットボードのストーリー要素 | 人物 · 場所のテンプレート |
| 人物のイラストを作る | パーツを選んで作成 | 画像をつける | 画像を資料に置く | |
| プロットを型に沿って組む | 起承転結 | ボード | プロットボード | コルクボード |
| 人物の相関図 | 相関図を複数作成 | 関係グラフ | メンション | |
| 人物がどこに登場し、どう変わったかをたどる | 展開 | |||
| シリーズをひとつのプロジェクトで書く | ワールドひとつに原稿を複数 | プロジェクトに本を複数 |
長編では、序盤で決めた人物の口癖や目の色を、後半でまた探すことになりがちです。4つとも、原稿を章や場面に分けて書き、人物や設定を原稿のそばに別に置きます。
人物の資料と相関図 — 人物の顔が見えると書きやすいなら、Nolaが便利です。パーツを選んで登場人物のイラストを作り、性格やプロフィールと並べて保存できます。相関図は物語の流れに合わせて複数作れるので、物語の前半と後半で変わる関係をそれぞれ残せます。
関係グラフ — 誰が誰とつながっているかがひと目でわかります。 TypeTakでは、人物の欄に「父」「ライバル」のような関係を書くと、それがそのまま関係グラフの線になります。片方に書いた関係は相手の項目にも記録されるので、人物が増えても全体の構図をひとつの画面で見渡せます。
プロットを組む — Nolaのプロットは起承転結のブロックに思いついたことを書き込み、あとからブロックを入れ替えます。TypeTakでは、ワールドに「ストーリー」のようなボードを作り、出来事をカードにして並べます。Scrivenerのコルクボードは場面のカードを動かすと原稿の順番も一緒に変わり、Novelistはプロットボードに人物や場所、メモを置きます。
人物がどう変わったか — 連載が長くなると、人物の立場や関係が途中で変わります。TypeTakのワールド整理は章を読みながら、人物がどこで何を経験したかを展開に一行ずつ書き、各行には登場した原稿のページがつきます。押せばその箇所が開くので、前の話と食い違っていないかを確かめやすくなります。
3. スマホとPC、書き出し
| 機能 | Nola | TypeTak | Novelist | Scrivener |
|---|---|---|---|---|
| 使える環境 | iPhone · iPad · Android · Web(PC) | Webブラウザ(PC · スマートフォン) | Android · iPhone · iPad · Web | Mac · Windows · iPhone · iPad(別途購入) |
| 文章の保存先 | クラウド | クラウド | 端末 | 自分のパソコン |
| 端末間の同期 | 標準(無料) | 標準 | Googleドライブでバックアップ · 復元 | Dropbox |
| インターネットなしで書く | アプリ版 | |||
| 書き出し形式 | TXT · Word · PDF · EPUB(PDFとEPUBはプレミアム) | PDF · DOCX · TXT · EPUB | EPUB · ODT · HTML | DOCX · PDF · EPUB · Kindleなど |
| 原稿をほかの人に読んでもらう | Nolaノベルに投稿 | 公開 · リンク共有 |
原稿をどこに置くかで、スマホとPCの行き来のしやすさが変わります。
どこでも続きを書く — クラウドに原稿を置くNolaとTypeTakは、どの端末でもログインすれば同じ原稿が開きます。NolaのPC版はブラウザで使うWeb版で、アプリ版ならオフラインでも書けます。TypeTakもブラウザで使うツールなので、ソフトを入れにくい学校や会社のパソコン、Androidのスマートフォンでも書けます。ScrivenerとNovelistは原稿を端末やパソコンに置き、インターネットがなくても書けます。
本として書き出す — 出版用の体裁にまとめる機能は、ScrivenerのCompileが最も細かく設定できます。Nolaはプレミアム会員になるとPDFとEPUBで書き出せ、PDFはレイアウトの項目まで選べます。TypeTakはPDFとEPUBを縦書きで書き出せるので、同人誌の原稿や電子書籍のファイルを作るときに便利です。
読者に見せる — Nolaは、書いた作品を同じ運営元の投稿サイトNolaノベルに投稿して公開します。TypeTakは、原稿とワールドを見せる範囲を全員、リンクを知っている人のみ、共有しないの3つから選び、訪問者が残したコメントを自分のコメントパネルで読みます。
4. AI
| 機能 | Nola | TypeTak | Novelist | Scrivener |
|---|---|---|---|---|
| 標準で入っているAI | アシスタント猫 | エージェント | ||
| 原稿への感想をもらう | 感想 · 褒める感想モード | フィードバック | ||
| あらすじ・キャッチコピー・企画を作る | エージェントに依頼 | |||
| 応募先の候補を出す | 企画アシスト | |||
| 設定を読んだうえで草稿を書く | 執筆プラン → 草稿 | |||
| 選んだ文を書き換える | 言い換え · ブラッシュアップ |
AIを使うかどうかは、書き手によって違います。NovelistとScrivenerはAIなしで書くソフトで、Scrivenerは公式ブログで「Scrivener自体にAIは入っていない」と明言しています。
感想と企画のアシスト — Nolaのアシスタント猫は、書いた原稿を読んで感想を返し、あらすじやキャッチコピーを作ります。作品の魅力をたっぷり褒めてくれる感想モードもあり、投稿サイト以外で感想をもらえる相手として作られました。企画アシストでは、企画への感想や応募先の候補を出し、書いた原稿から企画の項目を作ります。感想の機能を通して作品がAIに学習されることはないと、Nolaは公式noteで明記しています。
設定を知っているAI — TypeTakのエージェントは原稿とワールドを自分で探して読み、執筆プランを先に見せてから、確認すると希望の文字数に合わせて草稿を書きます。書いていて詰まった文は言い換えで別の言い方の候補を受け取って選び、フィードバックは原稿を読んで、ワールドの設定と食い違う箇所まで指摘します。TypeTakで書いた文章がAIの学習に使われることはなく、AIを使わないなら、原稿とワールドはどのプランでもそのまま使えます。
料金
| 項目 | Nola | TypeTak | Novelist | Scrivener |
|---|---|---|---|---|
| ずっと使える無料版 | 広告なし | |||
| 有料の価格 | 月¥550 · 年¥5,500 | 月$12 / $40 | $59.99(買い切り) | |
| 無料トライアル | 年間会員に14日間 | 7日間 | 使用した日数で30日 | |
| 有料で増えるもの | PDF · EPUBの書き出しなど | AIの使用上限 |
無料で最後まで — お金をかけずに1冊書きたいなら、NolaとNovelist、TypeTakの無料版があります。Nolaは無料のままでも端末間の同期が使え、Novelistには広告もアプリ内課金もありません。TypeTakの無料プランは期間の制限がなく、AIの使用上限が一定期間ごとにリセットされます。
有料にすると — Nolaのプレミアム会員になると、PDFやEPUBの書き出しのような機能が増えます。アプリ内のFishを使って、プレミアム機能の一部を試すこともできます。TypeTakはAIを多く使うほど上のプランを選びます。Scrivenerは買い切りで、Mac、Windows、iOSの版を別々に買います。
Nola — 無料、プレミアム会員 月¥550 · 年間会員 ¥5,500(App Storeでの価格、2026年4月に改定)。TypeTak — Pro 月$12(年払いなら月$9)、Max 月$40(年払いなら月$29)。Novelist — 無料。Scrivener — macOS · Windows 各$59.99、iOS $23.99。
どんな書き手に何が合う?
| 書き手が求めること | Nola | TypeTak | Novelist | Scrivener |
|---|---|---|---|---|
| 無料でスマホとPCを行き来して書く | 同期も無料 | ブラウザ | Googleドライブで移す | iOS版は別途購入 |
| 縦書きで読み返しながら書く | 縦書きプレビュー | 縦書きで書き出す | ||
| 人物のイラストや相関図で作品を組み立てる | イラスト · 相関図 | 関係グラフ | プロットボード | |
| 設定を積み上げながら長い連載を続ける | 登場人物 · 世界観 | ワールド · 展開 | ストーリー要素 | 資料の文書 |
| AIに設定どおりの草稿や推敲を手伝ってもらう | 感想 · 企画のアシスト | エージェント | ||
| 公募や商業化までつながる場所で書く | 応募タブ · エージェント機能 | |||
| インターネットなしで書く | アプリ版 |
Nolaが合う書き手
- 無料で、スマホとPCのどちらでも同じ原稿を書きたい書き手
- 縦書きのプレビューで原稿を確かめたい書き手
- 人物のイラストや相関図を作りながら、作品を組み立てたい書き手
- 書いた作品をNolaノベルへの投稿や公募、商業化につなげたい書き手
TypeTakが合う書き手
- 話数が増えても、AIに前の設定どおり草稿や推敲を手伝ってほしい連載の書き手
- 人物がどこで何を経験したかを、原稿から一行ずつまとめてほしい書き手
- ルビ、原稿用紙換算、縦書きの書き出しまで、ひとつの場所で原稿を仕上げたい書き手
Novelistが合う書き手
- 広告のない無料アプリで、スマホだけで長編を書きたい書き手
- 毎日の分量と締め切りを決めて書きたい書き手
Scrivenerが合う書き手
- 原稿を自分のパソコンに置き、インターネットなしで書きたい書き手
- 出版用の体裁を細かく決めて書き出したい書き手
よくある質問
Nolaで書いた原稿は、ほかの人に見られますか?
Nolaは執筆のためのツールで、原稿は自分のアカウントのクラウドに保存されます。作品を読者に公開するのは、Nolaノベルに投稿したときです。Nolaエージェント機能も、利用をオンにした作品だけをエージェントチームが確認します。
NolaにPC版はありますか?
PCではブラウザで使うWeb版のNolaを使います。アプリ版と同じアカウントでログインすれば、スマホで書いた原稿がそのまま開きます。
Nolaエージェント機能とは何ですか?
書き手の手元にある作品の商業化を、営業の面で手伝う機能です。利用をオンにした作品をNolaのエージェントチームが確認し、合いそうな出版社に提案します。AIの機能ではなく、作品の商業化権を独占することもありません。
Nolaで書いた原稿をTypeTakに移せますか?
はい。NolaからTXTかWordで書き出したファイルを、TypeTakのインポートで取り込めます。TypeTakはTXT、DOCX、Markdown、HTMLのファイルを原稿のページにします。
参考
- Novelist
- ホームページ、Google Play、App Store
- Scrivener
- 製品ページ
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