二次創作でキャラ崩壊・解釈違いを防ぐには|解釈メモの作り方と10の見直し

書き終えた場面を読み返すと、どこかがおかしい。あの人らしくないのに、どこで外れたのかがわからない。

キャラ崩壊とは、キャラクターの言動が原作での性格と合わなくなることです。キャラ崩壊が出やすいのは4つのポイントです。ここではその4つと、キャラ解釈メモをつくって書き終えた場面と見比べる方法を紹介します。

例は二次創作小説の書き方と同じ原作、TypeTakの講座実例でたどるウェブ小説連載で書いたウェブ小説『黒魔法使いと言われましたが、得意なのは土掘りだけです』です。魔力のほとんどない平民クレイが、古い判定石に「土魔法」をうまく発音してもらえず、黒魔法使いと判定される話です(韓国語では「土」と「黒」の音がほぼ同じで、それがこの作品の笑いのもとです)。

ひと目でわかるポイント

  1. キャラ崩壊は、口調・反応・関係の距離・原作の時系列にあらわれる
  2. キャラクターごとにメモを一枚つくり、どの行にも原作の根拠の場面をつける
  3. 書き終えた場面は、10の問いでメモと見比べる
  4. わざと変えるなら、先に示して、理由を物語の中で見せる

キャラ崩壊はどこにあらわれるか

読者が「この人らしくない」と感じるのは、たいてい次の4つのどこかです。

どこに どうあらわれるか 例
口調 敬語かどうか、相手の呼び方、口ぐせ いつも「教授」と呼ぶキャラクターが、急に名前で呼ぶ
反応 感情が動いたときにすること 冗談でかわす人が、その場で泣き出す
関係の距離 2人が近づいたり離れたりする速さ ほとんど初対面の2人が、ひとつの場面で本音を全部打ち明ける
原作の時系列 原作で決まった出来事と前後が合わない 入学試験より前の場面で、クレイがもう黒魔法使いと呼ばれている

いちばん気づきやすいのは口調です。いちばん見落としやすいのは関係の距離です。おかしなセリフは読み返せば目に入りますが、関係が急に近づきすぎたことは、ひとつの場面の中からは見えにくいからです。

キャラ解釈メモのテンプレート

メモはキャラクター1人につき1枚、項目は5つで足ります。このまま写して使えます。

名前:
口調 — 敬語かどうか、相手の呼び方、口ぐせ
価値観 — いちばん大事にしていること
追い詰められたとき — 怒ったとき、怖いとき、不意を突かれたときにすること
しないこと — 原作のこの人なら絶対にしないこと
根拠の場面 — 上の項目をそう判断した原作の場面

埋めるときのルールはひとつです。根拠の場面がない行は、まだ埋まっていません。「優しい」のような印象はすぐ書けます。でも、どの場面でそう感じたのかを言えないなら、自分がそうあってほしいと思っているだけかもしれません。何話のどの場面かを書いておきます。

例:クレイの解釈メモ

セラフィーヌのメモは二次創作小説の書き方にあります。こちらはクレイです。

項目 クレイ・ローウェン
口調 貴族や教授には丁寧に話す。魔法の専門用語を使わず、そのまま言う。一人称は「僕」
価値観 資格を取って安定した職に就き、家族を助けたい。名声は求めていない
追い詰められたとき 単純な間違いだと考えて、説明しようとする
しないこと 黒魔法使いの噂に乗って、すごい人に見せようとすること
根拠の場面 第1話、入学試験。ありふれた「土魔法」という結果を予想していて、会場が静まり返ると、何が起きたのかを問い返す

2人分のメモを並べると、関係も見えてきます。クレイは説明しつづけ、セラフィーヌはその説明をすべて自分の理論に包み直します。どちらも一度の会話で考えを変えることはありません。この関係がどのくらいの速さで動けるのかが、ここからわかります。

書き終えた場面を見比べる10の問い

下書きが書けたら、文章を整える前にメモを横に開き、順番に確かめます。

言葉

  1. セリフは「口調」の行と合っているか
  2. 相手の呼び方はメモのとおりか
  3. どの言葉も、このキャラクターが本当に口にしそうなものか

行動

  1. 何かが起きたとき、「追い詰められたとき」のとおりに反応しているか
  2. 「しないこと」に書いたことをしていないか
  3. その行動を、このキャラクターの価値観で説明できるか

関係

  1. 前の場面から、2人の距離が急に変わりすぎていないか
  2. 人前と2人きりのときで、振る舞いが分かれているか

時系列

  1. 原作の出来事の順番と食い違っていないか

変化

  1. キャラクターがらしくない行動をするなら、その理由が場面の中にあるか

すべてが「はい」である必要はありません。理由のある「いいえ」はキャラ崩壊ではなく、キャラクターの成長です。直すのは、理由のない「いいえ」だけです。

例:ひとつの場面を見比べて直す

クレイとセラフィーヌがはじめて1対1で話す場面を、こう書いたとします。

クレイはにやりと笑って、椅子の背にもたれた。「いいですよ、黒魔法使いってことで。みんな僕を怖がってるし、正直ちょっと気分がいいんです」

セラフィーヌはため息をついた。「もう、クレイったら。土魔法だってこと、最初からわかってたわよ」

問いに当てはめると、3つ引っかかります。

  • 問5、しないこと: クレイが噂に乗っています。メモでは、彼はそうしません。
  • もう一度問5、今度はセラフィーヌ: メモでは、彼女は土魔法だとは決して信じません。信じた瞬間、物語の中心にある笑いが消えます。
  • 問7、関係の距離: 「もう、クレイったら」は、出会ったばかりの教授と1年生にしては親しすぎます。

メモに合わせて直すとこうなります。

「教授、本当にただの土魔法なんです。判定石の発音がおかしかっただけで」

「ええ、もちろん」セラフィーヌは手帳に何かを書きつけた。「この段階で否定するのは、ごく自然なことよ」

クレイは窓辺の鉢を見た。育てているカブが、ちょうど新しい葉を一枚出したところだった。クレイは、それ以上なにも言わないことにした。

2人ともメモのとおりに動いています。クレイは説明し、セラフィーヌはそれを聞き入れません。それでも場面は進みます。クレイは、少なくとも今日のところは、信じてもらうのをあきらめました。

わざと変えたいとき

違う性格や、違う関係を書きたいこともあります。それでかまいません。2つのことに気をつけます。

  • 先に示す。 ifやパロのタグをつけるか、キャプションに書きます。設定を知って読む読者は、その変化をキャラ崩壊とは受け取りません。
  • 理由を物語の中で見せる。 セラフィーヌがついにクレイを信じるなら、彼女の理論では説明できなかった何を見たのかを描きます。それが問10です。

ほかのファンと解釈が違うことも、キャラ崩壊ではありません。同じ場面を見ても、受け取り方は人それぞれです。自分の解釈に根拠があるなら、解釈違いがあっても、あなたの作品が間違っていることにはなりません。

TypeTakで解釈メモと見比べる

TypeTakは、エージェントと一緒に書くAI執筆エディタです。この記事で紹介した作業のうち、解釈メモを一か所にまとめておくことと、書き終えた場面をそのメモと見比べることを手伝います。

  • メモはワールドに。 キャラクターごとの口調・価値観・しないこと・根拠の場面をワールドに書いておきます。エージェントは答える前にそれを読むので、「ここでクレイは噂に乗る?」と聞くと、メモに沿って答えます。
  • フィードバックでもう一度見比べる。 エディタのツールバーで 校正・校閲 の横のメニューを開き、フィードバック を押します。下書きの強みと弱みに加えて、ワールドに書いた設定と食い違うところを指摘します。10の問いを自分で確かめたあとに使います。
フィードバック — ワールドの解釈メモと食い違うセリフと行動を指摘した例
  • よく使う確認はスキルに。 「この場面をワールドの解釈メモと見比べて、口調としないことに合わないセリフを探して」のように毎回頼む確認は、スキルとして保存して呼び出せます。

TypeTakは、自分で書く文章を手伝うツールです。キャラクターをどう解釈するか、どこまで変えるかを決めるのは書き手です。

よくある質問

キャラ崩壊とはどういう意味ですか?

キャラクターの言動が、原作での性格と合わなくなることです。英語圏ではOOC(out of character)と呼びます。キャプションに「キャラ崩壊注意」と書いて、先に知らせる書き手もいます。

ほかのファンと解釈が違ったら、キャラ崩壊ですか?

違います。同じ場面でも、読み方は人によって分かれます。原作に根拠のある解釈で、キャラクターがその解釈どおりに動いているなら、キャラ崩壊ではありません。

原作にない状況で、キャラクターがどうするかわかりません。

メモの「価値観」と「追い詰められたとき」から考えます。似た気持ちになった原作の場面を探し、そのときの反応を新しい状況に持ちこみます。根拠の場面が多いほど、こうした判断は楽になります。

pixivで「キャラ崩壊注意」のタグはつけたほうがいいですか?

わざと原作と違う振る舞いをさせているなら、タグやキャプションで、何が違うのかをひとこと添えて知らせておくと読者が選べます。自信がなくてつけようとしているなら、先にメモと見比べてみてください。理由を場面の中で見せれば足りることもあります。

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