サブプロットとは?小説での作り方と種類、長編で途切れさせないコツ

サブプロットは、メインプロットのそばで一緒に流れる小さな筋です。脇役や主人公の別の人間関係を追いかけ、メインの出来事とぶつかる瞬間に物語に厚みを出します。

この記事では、小説のサブプロットの意味とメインプロットとの違い、サブプロットの3つの役割と5つの種類、メインプロットに組みこむ順番をまとめました。何百話も続くWeb小説で、サブストーリーがいつの間にか消えてしまう問題と、それを防ぐサブプロット管理表も紹介します。

ひと目でわかるポイント

  1. メインプロットは主人公の望みを追い、サブプロットはそのそばの別の関係や人物を追います
  2. サブプロットはメインとぶつかった時に役に立ちます。最後までぶつからないサブプロットは、削ってもいいサブプロットです
  3. 筋ごとに始まる話、メインとぶつかる話、終わる話を先に決めると、組みこみやすくなります
  4. 連載が長くなったら、筋ごとに最後に出た話数を書いておき、間があきすぎる前に短くでも見せ直します

サブプロットの意味:メインのそばを流れる小さな筋

プロットは、出来事を原因と結果でつなぎ、どんな順番で見せるかを決めた設計図です(プロットの書き方)。一つの作品の中には、こうした筋がいくつも流れています。そのうち主人公の望みを追い、作品の結末を決める筋がメインプロットで、そのそばで別に始まり別に終わる小さな筋がサブプロットです。サブストーリーと呼ぶ人もいます。

なお「サブプロット」だけで検索すると、グラフを描くプログラムの機能の話がたくさん出てきます。この記事のサブプロットは、もちろん物語の筋のほうです。

メインプロットとサブプロットの違い

メインプロット サブプロット
誰を追うか 主人公と、主人公が望むもの 脇役、または主人公の別の関係や気持ち
分量 作品の大部分 数話に一度、短く
終わる時 作品の結末 結末の前か、結末と同時
抜くと 物語が成り立たない 物語は残るが薄くなる

いちばん使える基準は最後の行です。ある筋を抜いてみて結末がそのまま成り立つならサブプロット、成り立たないならメインプロットです。

群像劇とサブプロット

群像劇は、複数の人物がそれぞれの筋を持ち、どれが主役ともいえない形で進む物語です。連続ドラマの、家族ごと・職場ごとに筋が分かれて最後に一つの出来事に集まる作りを思い浮かべるとわかりやすいでしょう。

群像劇では筋どうしの重さがほぼ同じですが、サブプロットのある物語では、はっきりメインが一本あります。自分の作品がどちらに近いかで、筋ごとの分量の決め方が変わります。この記事は、主人公が一人いる長編を前提にしています。

サブプロットの3つの役割

1. テーマを別の角度から照らす。 メインプロットが「人がつけた名前より、自分のしていることが自分を語る」という話なら、サブプロットは同じ問いを別の人物に投げかけられます。主人公と反対の答えを出す人物がいると、テーマがくっきりします。

2. 速さを整える。 メインの出来事が何話も続けて押し寄せると、読者も疲れます。緊張した話のあとにサブプロットの軽い話を置くと息をつく場所ができ、反対にメインが静かな時にサブプロットで事件を起こすと、緊張が続きます。

3. メインの出来事を動かす。 いちばん大事な役割です。サブプロットで生まれた関係や手がかりが、メインの危機を解いたり、こじらせたりしなければなりません。このつながりがないと、読者はサブプロットの話を「飛ばしてもいい話」として読みます。

サブプロットの種類5つ

よく使うサブプロットを5つに分けるとこうなります。例はTypeTakのWeb小説講座の作品『黒魔法使いと言われましたが、得意なのは土掘りだけです』です。メインプロットは「土魔法使いクレイが黒魔法使いと誤解されながら学院で踏んばり、最後に土魔法の居場所を作る」です。

種類 追うもの 例
関係(友情・恋愛) 主人公とある人物との距離 クレイの本当の属性を知るただ一人の友人ミア。誤解が大きくなるたびに後始末をして、二人の仲が深まる
ライバル 主人公と張りあう人物の変化 貴族のルシアンがおびえながらクレイと競い、張りあうほどクレイの評判だけが上がっていく
師匠・協力者 主人公を導く人物の目的 黒魔法の教授セラフィーヌが、クレイの力を確かめようと危ない試験を出し続ける
謎・伏線 まだ答えが出ていない問い よみがえらせた土が数日後にまた腐る。第3部で本物の黒魔法使いバルカンの痕跡につながる
主人公の内面 主人公が一人で抱える気持ち 資格を取って家族の暮らしを助けたいという目標と、学院でふくらんでいく期待とのあいだの揺れ

謎の筋は、作品の後半でメインプロットに上がることもあります。上の例の「また腐る土」は第2部では小さな伏線ですが、第3部では物語全体を引っぱります。伏線の張り方と回収は伏線とはで別にまとめています。

サブプロットの作り方

サブプロットはメインプロットを先に立ててから作ります。順番は5つです。

  1. メインプロットの大きな出来事を書き出す。 部ごとの終わりの出来事、エピソードごとの危機が見えると、サブプロットをはさむ場所が見えます。
  2. 筋ごとに問いを一つ決める。 「ミアは最後まで秘密を守れるか」「ルシアンはいつクレイを認めるか」のように、読者が答えを待つ問いです。問いがないものはサブプロットではなく、ただの背景です。
  3. 始まる話、メインとぶつかる話、終わる話を決める。 この三点を決めるだけで、サブプロットは迷子になりません。ぶつかる話は、メインの危機の話に置くといちばん効きます。
  4. エピソードのプロットに筋の名前をつける。 エピソードごとに、どのサブプロットが一歩進むかを書いておきます。エピソードの欄はプロットの書き方の三層テンプレートがそのまま使えます。
  5. 終わりを確かめる。 筋ごとに問いに答えが出たか、メインの結末より前に閉じるか結末と一緒に閉じるかを決めます。

サブプロットに三幕構成は必要?

よく聞かれる質問です。サブプロットにも、短くていいので始まり・盛り上がり・終わりがあると、読者は一本の筋として覚えます。ただ、メインのようにきっちり組んだ三幕構成や起承転結までは要りません。

代わりに、上の手順の三点をそのまま三幕に当てはめると考えてみてください。

  • 始まる話 が第一幕:筋の問いが出てくる
  • メインとぶつかる話 が第二幕:筋が動いて、メインの危機に関わる
  • 終わる話 が第三幕:問いに答えが出る

これで十分に筋になります。構成の型そのものは起承転結とはでも比べています。

例:『黒魔法使いと言われましたが、得意なのは土掘りだけです』のサブプロット4つ

上の5種類のうち4つを筋として組んでみるとこうなります。話数はこの記事の例として決めたもので、41〜45話の公開実習エピソードと34・58・96話の土の伏線は、プロットの書き方・伏線の記事の例と同じです(全150話前後の想定)。

筋 問い 始まり メインとぶつかるところ 終わり
ミア ミアは最後まで秘密を守れるか 2話:ミアが小声で言う。「あなた、土魔法使いでしょ」 42話:公開実習の前、土のゴーレムを使おうとするクレイを止める/141話:クレイが倒れているあいだに一人で誤解を収める 150話:クレイが自分で正体を明かし、ミアの秘密を守る役目が終わる
ルシアン ルシアンはいつクレイを認めるか 7話:入学最初の週、黒魔法使いに決闘を申しこもうとしてやめる 41〜45話:無理な魔法で実習場の壁を崩す 140話:腐った土をかごに入れて、クレイの前にぶちまける。初めて一緒に働く
セラフィーヌ セラフィーヌはクレイの正体に気づくか 12話:「今日からあなたは私の研究室の所属です」 44話:実習場を埋めた土ぼこりを大規模な黒魔法だと信じる/研究室をめぐる対立 150話:土魔法使いだと聞いて「なおさら研究する価値がある」と喜ぶ
また腐る土 直した土はなぜまた腐るのか 34話:花壇の土が三日でまた黒ずむ 58話:ミアがその場所を指さす/96話:学院の近くで同じように腐った土地が見つかる 第3部でメインプロットになる

4本ともメインの危機の話(41〜45話、96話、140話)でメインとぶつかります。ミアの筋は140話の解決のあと、クレイが代償を払う話でミアの場面につながり、サブプロットがメインの空いたところを埋めます。

Web小説では:サブストーリーが黙って消える理由

書籍は読者が数日で読みますが、Web小説は一話ずつ連載されます。毎日一話の更新なら話数がそのまま日数なので、ルシアンが30話出てこなければ、読者にとっては一か月音沙汰のなかった人物です。

連載でサブプロットが消える理由はたいてい3つです。

  • メインの出来事が大きくなって場所がなくなる。 メインが押し寄せるほどサブプロットの話を先送りにし、先送りにした筋はもう一度出すのが難しくなります。
  • どこまで書いたか忘れる。 筋が4本を超えると、「ミアの話は何話で止まってたっけ」を原稿をさかのぼって探すことになります。
  • 読者の反応に合わせて比重を変える。 反応のいい筋を育てているうちに、ほかの筋は問いだけ残して止まります。

決まった数字はありませんが、毎日更新で一つの筋が一か月近くあくと、読者はその人物の事情を忘れがちです。そういう時は、メインの話の中で台詞一行やすれ違う場面一つでも、短く見せ直してください。感想欄に「〇〇はいつ出てきますか」が見えはじめたら、その筋があいているサインです。

コピーして使えるサブプロット管理表

下の枠をコピーしてメモ帳や文書に貼り、筋一つにつき一まとまりずつ埋めてください。新しい話を投稿するたびに「最後に出た話」を直し、長くあいている筋がないか見わたします。

サブプロット管理表
[作品情報]
タイトル:
予定の長さ:(全__話)
いまの連載話数:(__話)

[サブプロット1]
筋の名前:
担当する人物:
問い:
始まった話:
最後に出た話:
次に出す予定の話:
メインとぶつかる話:
終わる話:

[サブプロット2]
筋の名前:
担当する人物:
問い:
始まった話:
最後に出た話:
次に出す予定の話:
メインとぶつかる話:
終わる話:

[サブプロット3]
筋の名前:
担当する人物:
問い:
始まった話:
最後に出た話:
次に出す予定の話:
メインとぶつかる話:
終わる話:

よくある失敗

サブプロットがメインより面白くなる。 読者がメインの話を飛ばしてサブプロットの話だけを待っているなら、サブプロットにメインの問いが入りこんでいないか見てください。

  • 直す前:ルシアンの筋がルシアン家の跡目争いにふくらみ、十話以上クレイが出てこない。
  • 直したあと:ルシアンの跡目争いは「黒魔法使いを倒さなければ認められない」という重圧としてだけ見せ、その重圧が41話の公開実習で無理な魔法になって爆発する。

終わらずに消える。 問いだけ投げて答えのないまま止まったサブプロットは、読者には回収されなかった伏線として残ります。

  • 直す前:第2部のあとセラフィーヌが出てこなくなり、セラフィーヌがクレイの正体に気づくのかは最後までわからない。
  • 直したあと:150話、クレイが正体を明かす場にセラフィーヌがいて、一行で答える。「それなら、なおさら研究する価値がありますね」

メインと一度もぶつからない。 切り離して読んでも同じように読めるサブプロットは、削ってかまいません。

  • 直す前:ミアが学院祭の準備をする話が続くが、クレイの誤解とは関係がない。
  • 直したあと:学院祭の準備中に、ミアが土のゴーレムのうわさを聞いて先に後始末に動く。ミアの筋がメインの誤解とかみあう。

TypeTakでサブプロットを見失わない

TypeTakは、エージェントと一緒に書くAI執筆エディタです。サブプロットを何本も動かす時に欲しいのは、筋ごとに途切れず、決めた場所で終わることです。

  • どの筋が何話止まっているか見える。 出来事を話ごとのカードにしてボードに並べると、カードごとに出てくる人物がつきます。人物ごとの列で見ると、ミア・ルシアン・セラフィーヌのうち誰の欄が長くあいているかがすぐにわかります。
  • 話ごとに何回出てくるか数えられる。 部と話ごとに、その人物が出てくる出来事の数が見えるので、一つの筋が一か所にかたまっていないかわかります。
  • 人物が変わってきた順番が残る。 サブプロットに沿って人物がどう変わってきたかが話数の順に積み重なり、次にどこへ連れていくかを決めやすくなります。
出来事のカードごとに出てくる人物がついているので、ミア・ルシアン・セラフィーヌの筋がどこでつながり、どこで途切れているかが見えます。

原稿を最初から読み返さなくても止まった筋を見つけられるので、上の管理表を回す時間が短くなります。消えたままの筋は、読者には「ご都合主義」や設定の穴に見えることもあります。その見つけ方はご都合主義とはにまとめました。

よくある質問

サブプロットとは何ですか?

メインプロットのそばで一緒に流れる小さな筋です。脇役や主人公の別の関係を追いかけ、メインの出来事とぶつかる時に物語に厚みを出します。英語ではsubplotといいます。

サブプロットはいくつくらいがいいですか?

決まった数はありません。短編なら一つか二つ、長編やWeb小説なら主な脇役の数くらいになりやすいです。数よりも、筋ごとに問いと終わりがあるか、メインとぶつかる話があるかのほうが大事です。

サブプロットとエピソードはどう違いますか?

エピソードはメインプロットを数話ずつに分けた単位で、サブプロットはいくつものエピソードにまたがって流れる別の筋です。一つのエピソードの中で、複数のサブプロットが一歩ずつ進むこともあります。

プロットにはどんな種類がありますか?

作品全体の筋を決めるメインプロットと、そのそばを流れるサブプロットに分けるのが基本です。そのほか、全体・エピソード・一話ごとに分けて立てる方法もあります。分け方はプロットの書き方で紹介しています。

短編にもサブプロットは必要ですか?

必ずしも必要ではありません。短い話はメインプロット一本で十分なことが多く、入れるなら一つにしぼって、メインと同じ場面の中で終わらせるほうが読みやすくなります。

参考資料

サブプロット
Wikipedia — Subplot

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