プロットの書き方|長編・エピソード・1話ごとに分けて立てる手順

プロットは、物語の出来事を原因と結果でつなぎ、読者にどの順番で見せるかを決めた筋立てです。Web小説では、完結までの大きな流れ、数話で区切るエピソード、1話の中の場面の順番を層に分けて立て、毎話の終わりに次の話へ引っぱる場面までをプロットに入れておきます。

起承転結や三幕構成といった型の話は後半に回しました。すぐ手を動かしたいなら、最初の手順とテンプレートだけ使えば足ります。

ひと目でわかるポイント

  1. ストーリーは起きたことの時間の順番、プロットはそれを「だから」でつなぎ、見せる順番を決めたものです
  2. Web小説のプロットは、長編(全体)、部とエピソード、1話の三層に分けて上から立てます
  3. 上の層は短く早めに、下の層は詳しく遅めに決めます。1話のプロットは、その話を書く直前に立てます
  4. 三幕構成とヒーローズジャーニーは長編や一つの部に、起承転結はエピソードに使い、1話は場面の区切りと最後の場面で組みます

プロットの書き方の手順

初めてプロットを立てるなら、次の順番で上の層から下りてきてください。前の手順で決めたことが、次の手順の材料になります。

  1. 結末と、主人公が望むものを一行ずつ書きます。 主人公が最後に望んでいたものを手に入れるのか、手に入れられないのか、別のものを手に入れるのかまで決めれば十分です。
  2. 全体を三〜五部に分けます。 部ごとに名前をつけ、その部が終わるとき主人公の立場がどう変わっているかを一行で書きます。
  3. 部の中をエピソードに分けます。 エピソードは、目標がひとつ生まれて片がつくまでの、数話からなる単位です。何話で一区切りにするかに決まりはありません。
  4. エピソードごとに三つの欄を埋めます。 実際に何が起きるのか、誰が何で邪魔をするのか、終わったあと主人公の立場と関係がどう変わるのか、です。
  5. エピソードを話に切り分け、話ごとの最後の場面を決めます。 どこで切れば次の話が気になるかを先に決めると、1話に入れる分量が自然に決まってきます。
  6. 書く直前に1話のプロットを立てます。 1話を三〜五つの区切りに分け、区切りごとに起きることを一行、どう書くかを一、二行書きます。
  7. 書いたら上の層を直します。 書いているうちに出来事が変わったら、エピソードと部の行も直しておかないと、次の話を立てるときに食い違います。

日本の創作論では、全体の流れを大プロット、話や章ごとの細かい流れを小プロットと呼び分けることもあります。ここではその間にエピソードの層を一枚はさみます。三つの層で決めることと分量の目安は次のとおりです。

層 決めること 分量の目安 いつ決めるか
長編(全体) 結末、主人公が望むもの、部の分け方、部ごとの最後の出来事 1枚。部ごとに二、三行 連載前に一度。部が終わるたびに直す
部・エピソード エピソードの目標、邪魔をする人、終わったあとの変化、次のエピソードへ残す火種 エピソードにつきカード1枚、三、四行 いま書いているエピソードと、その次のひとつまで
1話 区切り三〜五つ、区切りごとに起きること、最後の場面、目標の字数 1話につき五、六行 その話を書く直前

プロットとは:ストーリーとの違い

プロットという言葉は話の筋とほぼ同じ意味でも使われますが、創作論ではストーリーと分けて考えます。イギリスの作家E・M・フォースターは『小説の諸相』(1927年)で、この違いを次の例で説明しました。

  • ストーリー:「王が死に、それから王妃が死んだ」
  • プロット:「王が死に、その悲しみのあまり王妃が死んだ」

二つの文で起きたことは同じです。プロットのほうにだけ、王妃がなぜ死んだのか、つまり二つの出来事のあいだの原因と結果が入っています。出来事を「それから」で並べればストーリー、「だから」でつなげばプロットです。

ストーリー プロット
入っているもの 起きたこと 起きたことと、そのあいだの原因・結果
順番 時間の順番 作者が読者に見せると決めた順番
つなぐ言葉 そして、それから だから、そのせいで
読者が抱く問い それから? なぜ?

ロシア・フォルマリズムの批評で使われたファーブラ(出来事の時間順)とシュジェート(作者が組んだ並び)という対も、同じ区別です。だからプロットは時間の順番を入れ替えられます。

TypeTakの講座で書いている韓国のウェブ小説『黒魔法使いと言われましたが、得意なのは土掘りだけです』でいえば、ストーリーの時間順は、クレイが農村で母と畑の土を見ながら育ったところから始まります。プロットはその子ども時代を飛ばして、第1話を入学試験の会場で開きます。土塀を直しながら土を読む感覚を身につけたという過去は、土魔法が要る場面で一行ずつ取り出します。因果も同じです。

  • ストーリー:クレイがよみがえらせた土が、数日後にまた腐った。
  • プロット:クレイがよみがえらせた土が、数日後にまた腐った。誰かが同じ土地を黒魔法で腐らせ続けていたからだ。

二つ目の文がついたとたん、腐った土は第3部の本物の黒魔法使いバルカンにつながる出来事になります。

1. 長編(全体)のプロット

長編のプロットは、完結までの道を1枚に収めます。ここで決めるのは四つです。

  • 主人公が望むもの:物語全体を引っぱる目標
  • 結末:その目標を手に入れるのか、手に入れられないのか、別のものを手に入れるのか
  • 部の分け方:三〜五部。部ごとに名前をひとつ
  • 部の最後の出来事:その部が終わるとき、主人公の立場がどう変わったか

部を分ける目安は、主人公のいる場所や目標が変わるところです。Web小説は連載中に読者の反応を見て真ん中を延ばしたり縮めたりすることが多いので、部ごとの話数は先に決めても、おおよそにとどめておきます。

例:『黒魔法使いと言われましたが、得意なのは土掘りだけです』の長編プロット

TypeTakの講座実例でたどるウェブ小説連載でボードに置いた三つの部を、長編のプロットに移すとこうなります。題材は韓国語で書かれた韓国のウェブ小説で、タイトルの笑いは韓国語の同音にかかっています(「土魔法」と「黒魔法」は韓国語ではどちらも「フンマボプ」と聞こえます)。部の名前と出来事は講座で決めたとおりで、話数の範囲と第2部の最後の出来事は、この記事の例として決めました。結末はあらすじの書き方で例として決めた結末に合わせています。

  • 望むもの:資格を取って安定した職に就き、農村の家族の暮らしを助ける
  • 結末(例):黒魔法が腐らせた土地を土魔法がよみがえらせることを示し、学院に土魔法を教える6つ目の塔が建って、クレイがその最初の研究生になる
部 話数(例) 入っている出来事 部が終わるときのクレイの立場
第1部 序盤の誤解と入学 第1〜15話 見下される平民の少年、魔力量検査、判定石の音声による発表 黒魔法の特例入学生になり、特別奨学金と専用研究室を提示される
第2部 学院への適応と地位の上昇 第16〜95話 初めての研究課題、初めての公開実習、土魔法が大規模な黒魔法と誤解される出来事、研究室をめぐる対立 学院でもっとも恐れられる黒魔法使いとして評判が上がる(例)
第3部 本物の黒魔法の痕跡 第96〜150話 不自然に腐った土地の発見、バルカンの痕跡 土魔法使いだと明かし、6つ目の塔の最初の研究生になる(例)

部が終わるときの立場を書いておくと、部ごとに何が変わらなければいけないかが見えます。第1部から第2部に移るとき、クレイは見下される平民から恐れられる特例入学生になり、第3部ではその誤解が初めて笑いでは済まない危険になります。人物が部ごとにどう変わるかを話の順に書き出す方法は、キャラクターアークで扱っています。

2. 部・エピソードのプロット

部はそのまま書くには長すぎます。一つの部をいくつかのエピソードに分け、エピソードごとに小さな目標と、それが片づく終わりを置きます。読者が数話に一度、結果を受け取る単位がエピソードです。

エピソードのカードには、次の欄を用意します。

  1. 目標:このエピソードで主人公がやり遂げなければならないこと
  2. 阻むもの:誰が、何で邪魔をするのか
  3. 終わったあとの変化:主人公の立場と関係がどう変わるのか
  4. 次の火種:次のエピソードが始まるきっかけ

エピソードひとつを起承転結一回で組むと楽です。起で目標が生まれ、承で事が大きくなり、転でひっくり返り、結で片がついて次の火種を残します。起承転結を話数に割り振るやり方は起承転結とはに詳しく書きました。

例:第2部のエピソード「初めての公開実習」

ボード第2部の二枚目のカード「クレイの初めての公開実習」と三枚目のカード「土魔法が大規模な黒魔法と誤解される」を、ひとつのエピソードにまとめました。話数と場面は、この記事の例として決めたものです。

話 起承転結 起きること 周りが誤解すること 話の終わり
第41話 起 公開実習の課題として、ひびの入った実習場の壁の補修が出る。ルシアンが同じ班を買って出る ルシアンは、黒魔法使いを倒す好機だと信じている ルシアンが「あの黒魔法使いの相手は俺がする」と言い放つ
第42話 承 クレイが土のゴーレムで資材を運ぶ。ミアはばれるのを恐れて止める 学生たちは土のゴーレムを屍のゴーレムだと思い込む セラフィーヌが実習を見に来るという知らせ
第43話 承 実習当日、ルシアンが無理に使った魔法で壁がさらに崩れる ルシアンは、クレイに呪いをかけられたと思っている 傾いた壁が学生たちのほうへ崩れ落ちる瞬間
第44話 転 クレイが土を一気に起こして壁を埋める。実習場が土ぼこりに覆われる 全員が大規模な黒魔法だと信じる。セラフィーヌは「ただの土魔法です」という言葉を謙遜と受け取る セラフィーヌが「次の試験は私の研究室で」と言う
第45話 結 評判が上がり、ルシアンは怯えたまま引き下がる 学生たちがクレイを避けて歩く 研究室を狙う者たちが動き出す(次のエピソード「研究室をめぐる対立」の火種)

講座のボードでは、出来事のカードごとに「何が起きるか、周りは何を誤解するか、そのあと何が変わるか」を埋めました。勘違いものなら真ん中の欄が毎話の笑いどころになるので、上の表にも「周りが誤解すること」の欄を別に立てています。ジャンルが違えば、この欄をそのジャンルが読者に約束しているものに替えてください。恋愛ものなら二人の距離、ループものなら未来の知識で変えたこと、という具合です。

3. 1話のプロット

1話のプロットは、その話を書く直前に立てる、いちばん細かい層です。シナリオの世界でいう箱書きに近いものです。決めることは次のとおりです。

  • 目標の字数:連載するサイトで読まれやすい1話の長さ。講座の例は5,000字前後で、これは韓国のウェブ小説の連載形式に合わせた数字です
  • 区切り三〜五つ:区切りごとに、一行目に起きること、その下の一、二行にどう書くか
  • 最後の場面:結果を全部見せる前に切るところ

なろうやカクヨムの1話の長さに決まりはありません。同じジャンルの人気作を何本か開いて、1話がどのくらいの字数で切られているかを見てから決めると外れにくいです。5,000字の1話を四つに区切れば、区切りひとつは1,200字前後。この数字を先に知っていれば、ひとつの区切りに場面を三つも詰め込むことが減ります。

例:第1話「魔力の乏しい平民の少年」

講座の第1話の草稿でエージェントが立てた第1話のプランは四つのビートで、分量は5,000〜5,500字でした。第1話にはボードの出来事1-1から1-3が入ります。ビート1と4は講座のプランのとおりで、ビート2と3は講座の画面で省略されているため、ボードのカードと原稿に合わせてこの記事でまとめました。

区切り 起きること どう書くか
1 入学試験の会場に着いたクレイが、貴族の受験生に囲まれ、平民だというだけで見下される。名を上げる野心より、資格と安定した職のことを考えて列に並ぶ 一人称の目で、華やかな学院と古びた身なりを対比させる
2 魔力量の検査で低い数値が出て、嘲笑が大きくなる からかいは一人の受験生の視線と動きに集める
3 属性判定。古い判定石が【黒…… 魔……】とつぶれた声を出す クレイは土魔法だと受け取り、読者にだけ、判定石が土と黒を聞き分けられないという手がかりを渡す
4 会場が静まり返り、試験官が黒魔法適性者の確認手続きを命じる 侮りが恐怖にひっくり返る表情を見せ、クレイが「待ってください。今……僕の属性が黒魔法だと言いましたか?」と問い返すセリフで終える

最後の区切りは結果を説明しきらず、クレイの問い返しで切れています。次の話は、その誤解が学院じゅうに広がるところから始められます。

コピーして使える三層プロットのテンプレート

下の枠をコピーして文書やメモアプリに貼れば、三つの層の欄がそのまま残ります。長編の欄は連載前に一度、エピソードの欄はいま書いているものと次のものまで、1話の欄は書く直前に埋めてください。

三層プロットのテンプレート(長編・エピソード・1話)
[長編のプロット]
タイトル:
主人公が望むもの:
結末:
第1部 (第___話〜第___話) 名前: / 終わるときの主人公の立場:
第2部 (第___話〜第___話) 名前: / 終わるときの主人公の立場:
第3部 (第___話〜第___話) 名前: / 終わるときの主人公の立場:

[エピソードのプロット]
エピソード名 (第___話〜第___話):
目標:
阻むもの:
終わったあとの変化:
次の火種:
起:
承:
転:
結:
張る伏線 / 回収する話:

[1話のプロット]
第___話 タイトル:
目標の字数:
区切り1: 起きること / どう書くか
区切り2: 起きること / どう書くか
区切り3: 起きること / どう書くか
区切り4: 起きること / どう書くか
最後の場面:

エピソードの欄の「張る伏線 / 回収する話」は、空けたままにしがちです。『黒魔法使いと言われましたが、得意なのは土掘りだけです』なら、クレイがよみがえらせた土が数日後にまた腐るという伏線をどの話で張り、第3部の何話でバルカンの痕跡として回収するかを、ここに書きます。張ってから回収するまでの間隔の決め方は伏線にまとめました。

長編の欄を埋め終えたら、あらすじの書き方に進んでみてください。部ごとに書いた行と結末を起承転結の四段落でつなげば、あらすじの筋になります。

プロットの型四つ

プロットを立てるときによく使う型は、起承転結、三幕構成、ヒーローズジャーニー、SAVE THE CATの法則です。どれも物語ひとつが始まりから終わりまで一周する曲線なので、Web小説ではどの層にかぶせるかを先に決めないと使いにくいです。

起承転結

漢詩の絶句の四句の組み立てから来た型です。欄が四つしかなく短いので、エピソードひとつや短い部にかぶせやすいです。

段階 すること
起 人物と状況を見せ、目標や問題が生まれる
承 事が大きくなり、絡み合う
転 予想と違う方向にひっくり返る
結 片がつき、立場が変わる

意味と由来、話数ごとの例は起承転結とはに別にまとめました。

三幕構成

物語を設定・対立・解決の三幕に分ける型です。脚本家シド・フィールドが1979年の著書『Screenplay』(邦訳『映画を書くためにあなたがしなくてはならないこと』)で整理し、映画の標準になりました。幕と幕のあいだに、物語の向きを変えるターニングポイントを置きます。

幕 割合 すること
第一幕 設定 約25% 人物と世界を見せ、終わりで主人公を後戻りできない出来事に押し込む
第二幕 対立 約50% 目標に向かうにつれて障害が大きくなる。真ん中で一度、状況が変わる
第三幕 解決 約25% いちばん大きな対決を経て結末に至る

『黒魔法使い』の三つの部は、そのまま三幕として見られます。ただ、割合は映画と違います。上の例の第1部は全体の10%ほどしかありません。Web小説は後戻りできない出来事(クレイの黒魔法判定)を第1話の終わりに置くことが多く、そのぶん第一幕が短くなります。

ヒーローズジャーニー

神話学者ジョーゼフ・キャンベルが『千の顔をもつ英雄』(1949年)で、神話の英雄の物語に共通する流れを17の段階にまとめ、ハリウッドのストーリー・コンサルタント、クリストファー・ボグラーが『The Writer's Journey』(邦訳『神話の法則』)で書き手向けの12段階に縮めました。ヒーローズジャーニーの12段階というと、ふつうはボグラーの12段階を指します。

段階 すること 『黒魔法使い』に当てはめると
1. 日常の世界 主人公のふだんの暮らし 農村で畑の土を見ているクレイ
2. 冒険への誘い 旅立つきっかけが生まれる 王立魔導学院の入学試験
3. 冒険の拒否 主人公がためらう 資格だけ取って帰りたがる
4. 賢者との出会い 導き手に出会う クレイを誤解したまま教えるセラフィーヌ
5. 第一関門突破 見知らぬ世界に入る 黒魔法の特例入学
6. 試練、仲間、敵 新しい世界の決まりを覚え、味方と敵ができる 研究課題と公開実習、ミアとルシアン
7. 最も危険な場所への接近 いちばん大きな危険に近づく 不自然に腐った土地を調べる
8. 最大の試練 いちばん大きな山場を迎える 腐った土地がクレイの仕業だと疑われる
9. 報酬 山場を越えて手に入れるもの 土魔法で腐った土地をよみがえらせられると知る(例)
10. 帰路 結末へ戻る道で、また追われる バルカンが王都の土地を狙う(例)
11. 復活 最後の対決で、生まれ変わるように変わる 人々の前で土魔法使いだと明かし、土地を守る(例)
12. 宝を持っての帰還 手に入れたものを持って戻る 6つ目の塔と最初の研究生の座(例)

12段階は、主人公が見知らぬ世界に入り、変わって戻ってくる物語によく合います。異世界転生や異世界転移のように第1話で世界が変わるWeb小説なら、1〜5段階が第1〜3話のうちに全部過ぎてしまうこともあります。

SAVE THE CATの法則

ハリウッドの脚本家ブレイク・スナイダーが『SAVE THE CATの法則』(原著2005年)で示した15のビートです。110ページの映画脚本を基準に、ビートごとに入るページを決めているので、四つの型の中でいちばん細かい型です。下の「位置」は、そのページを物語全体に対する割合に直したものです。

ビート 位置 すること
1. オープニング・イメージ 始まり 主人公の最初の状態を一場面で見せる
2. テーマの提示 約5% 誰かが物語のテーマをそれとなく口にする
3. セットアップ 0〜10% 主人公の世界と、足りないもの
4. きっかけ 約10% 暮らしを揺さぶる出来事
5. 悩みのとき 10〜20% 行くか行かないか迷う
6. 第一ターニング・ポイント 約20% 自分から新しい世界に入る
7. サブプロット 約25% テーマを運ぶ関係(協力者や恋人)が始まる
8. お楽しみ 25〜50% この設定が約束した面白さを存分に見せる
9. ミッドポイント 約50% 偽りの勝利か偽りの敗北で状況が変わる
10. 迫り来る悪い奴ら 50〜70% 内と外の圧力が締めつけてくる
11. すべてを失って 約70% すべてを失ったように見える瞬間
12. 心の暗闇 70〜75% 主人公がどん底で悩む
13. 第二ターニング・ポイント 約75% 解決の糸口に気づく
14. フィナーレ 75〜100% 学んだことで問題を解く
15. ファイナル・イメージ 終わり 最初と変わった姿を一場面で見せる

勘違いものに当てはめると、お楽しみは第2部の誤解騒ぎで、ミッドポイントはクレイの評判がいちばん高くなった瞬間です。ビートが多いので、Web小説の長編全体より、一つの部(数十話)や書籍1冊分の長さにかぶせるほうが使いやすいです。

どの型をいつ使うか

型 合う層 使う場面
起承転結 エピソード、短い部 数話から十数話の出来事をひとつ組むとき。欄が四つなので早く組める
三幕構成 長編全体、一つの部 部を分ける目安がほしいとき。ターニングポイントを二つ決めればいい
ヒーローズジャーニー 長編全体 主人公が見知らぬ世界に入り、変わって戻ってくる物語
SAVE THE CATの法則 一つの部、書籍1冊 真ん中がだれるとき。ミッドポイントとすべてを失っての位置を点検する
区切りと最後の場面 1話 1話を書く直前。型より分量と切るところが先

型はひとつに絞らなくてかまいません。長編は三幕で部を分け、部の中のエピソードは起承転結で組み、1話は区切りと最後の場面で組む、というふうに層ごとに別の型を使えば済みます。型の欄を全部埋めることより、欄が空いているときに、そこに本当に出来事が要るのかを考えるきっかけに使うほうがうまくいきます。

よくある失敗

出来事の一覧だけで、「だから」がない。 出来事が「それから」でしかつながっていないと、読者は次の話を読む理由を見つけられません。フォースターの王と王妃のように、出来事のあいだに原因と結果を書きます。

  • 直す前:クレイが公開実習をする。ルシアンとぶつかる。セラフィーヌが研究室に呼ぶ。
  • 直したあと:ルシアンがクレイに勝とうと無理に使った魔法で壁が崩れ、だからクレイが土で壁を埋める。その土ぼこりを見たセラフィーヌは大規模な黒魔法だと信じ込み、だからクレイを研究室に呼ぶ。

長編のプロットだけで、1話のプロットがない。 結末と部は決めたのに今日書く話の区切りがないと、1話に出来事のカードを二、三枚詰め込むか、逆にひとつの場面を1話まるごと引き延ばすことになります。

  • 直す前:(第2部)学院に慣れながら評判が上がる。この一行だけを見て第41話を書く。
  • 直したあと:(第41話)区切り1 公開実習の課題発表 / 区切り2 ルシアンが同じ班を買って出る / 区切り3 ミアが止める / 区切り4 ルシアンの宣言で終わる (5,000字)

1話のプロットに最後の場面がない。 区切りが出来事を全部解決して終わると、次の話を開く理由がなくなります。Web小説でいう引きです。1話のプロットの最後の区切りには、どこで切るかを書きます。

  • 直す前:(区切り4)判定の結果が黒魔法と記録され、クレイは寮に案内されて眠る。
  • 直したあと:(区切り4)試験官が黒魔法適性者の確認手続きを命じ、クレイが「待ってください。今……僕の属性が黒魔法だと言いましたか?」と問い返すところで終える。

型の欄を埋めるために出来事を足す。 12段階に賢者との出会いの欄があるからと新しい人物を作ると、物語と関係のない人物が増えます。すでにいる人物がその役を引き受けられないか、先に考えます。

  • 直す前:賢者の段階を入れるために、第1部に隠遁した老賢者を新しく登場させる。
  • 直したあと:セラフィーヌが賢者の役を引き受ける。ただしクレイを黒魔法使いだと誤解したまま教えるので、教えるたびに誤解が深まる。

TypeTakでプロットを立てる

TypeTakは、エージェントと一緒に書くAI執筆エディタです。長編とエピソードの層は、ワールドのボードにグループ(部)とカード(出来事)として並べます。一つ目のグループの二枚目のカードには出来事1-2のように番号がつくので、物語の中での位置がわかり、カードをドラッグして動かせば番号もついてきます。1話の層は、エージェントに次の話を書いてほしいと頼むと、まず執筆プランのカードで受け取ります。項目の一行目がその区切りで起きること、下の箇条書きがどう書くかで、分量と区切りを直してから、そのプランどおりに草稿を書きます。人物が部ごとにどう変わるかは、人物ノードのセクションの展開に話の順で積み重ねます。展開の項目に「出来事1-2」のようなボードのカードをつけておけば、その変化がどの出来事から来たのかをすぐたどれます。

よくある質問

ストーリーとプロットの違いは何ですか?

ストーリーは起きたことを時間の順に並べたもので、プロットはそれを原因と結果でつなぎ、読者に見せる順番を決めたものです。E・M・フォースターの例では、「王が死に、それから王妃が死んだ」がストーリー、「王が死に、その悲しみのあまり王妃が死んだ」がプロットです。

プロットとあらすじは同じものですか?

あらすじは物語で起きることを要約した文章で、他人に読ませるためのものです。プロットは出来事の組み立てそのもので、書き手が執筆前に使う設計図です。プロットを先に立てておけば、あらすじはそのプロットを文章に直す作業になります。

三幕構成と起承転結はどう違いますか?

どちらも物語を段階に分ける型です。三幕構成は真ん中の第二幕がいちばん長く、ターニングポイントで物語の向きを変えることに重きを置きます。起承転結は「転」で流れがひっくり返るところに重心があります。Web小説のエピソードを組むなら欄の少ない起承転結が早く、一つの部の緊張の曲線を見るなら三幕構成が便利です。

プロットを最後まで全部立ててから連載を始めるべきですか?

長編の層(結末と部)だけ決めて始めてもかまいません。エピソードはいま書いているものと次のひとつ、1話は書く直前に立てれば足ります。連載中に出来事が変わったら、上の層の行も一緒に直しておかないと、次のエピソードを立てるときに食い違います。

Web小説のエピソードひとつは何話くらいがいいですか?

決まりはありません。読者が結果を受け取るまで長く待たされないよう、序盤には短いエピソードを置き、大きな出来事は後ろへいくほど長く取る、という組み方がよく見られます。

参考資料

ヒーローズジャーニー
Wikipedia — Hero's journey

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