AIに小説を評価してもらう方法:褒めすぎず、直すところがわかる小説評価プロンプト
AIによる小説評価とは、書いた原稿をChatGPT・Gemini・ClaudeなどのAIチャットに渡して、長所と短所、直すところを聞くことです。「評価して」とだけ送ると褒め言葉が先に来て点数も甘くなりがちなので、誰の目で何を見るのかと、答えの形を決めて頼むと、直すときに使える講評が返ってきます。
この記事では、AIの評価が褒める方向に傾く理由、頼む前に決めておくこと、そのままコピーして使える評価プロンプト6つ、返ってきた指摘の選び方を順に紹介します。例に使うのは、TypeTakの講座で書いている作品『黒魔法使いと言われましたが、得意なのは土掘りだけです』の第1話です。もとは韓国語で書かれた韓国のWeb小説です。
この記事のまとめ
AIは話し相手が聞いて気持ちのいい方向に答えが傾きやすく、そのまま聞くと褒め言葉が先に立ちます。評価を頼むときは、読者・編集者・設定チェック係のうち誰の目で読むかを決め、指摘ごとに原稿の文をそのまま引用させます。点数より「読む手が止まったところ」のような位置を受け取るほうが直しやすくなります。返ってきた指摘は新しい会話でもう一度聞き、二回とも出たものから見ます。
AIの小説評価があてにならないと言われる理由
AIチャットは、人がよいと選んだ答えを多く出すように調整されているため、相手に話を合わせる方向に傾きがちです。この傾向はつくる側も問題として扱っていて、OpenAIは2025年4月、ChatGPTが過度に相手に迎合するようになったアップデートを取り消し、その理由を公開しました(OpenAI)。自分の書いた小説を差し出して「どう?」と聞けば、AIは書いた本人が聞きたいことを先に言います。
点数もそのままは信じにくいものです。同じ原稿を新しい会話に入れ直すと点数が変わることがあり、何を基準に何点をつけたのか決めていなければ、72点と85点の違いが何なのかもわかりません。AIは、その作品を投稿するサイトの読者が何を好むのかも、この場面が50話後にどう効いてくるのかも知りません。
それでもAIの評価は役に立ちます。いつでも何度でも、はじめて読む人のように読んでくれますし、自分では見慣れて気づけないくり返しや設定の食い違いを見つけるのが得意です。傾きがあると知ったうえで、聞き方を組み立てれば使えます。
頼む前に決めておく三つのこと
| 決めること | 選び方の例 | 決めないと |
|---|---|---|
| 誰の目で | はじめて読むジャンルの読者、公募原稿を読む編集者、設定だけを見るチェック係 | どの視点も少しずつ混ぜた、無難な総評が返ってきます |
| 何を | 第1話で読むのをやめるところ、展開の説得力、設定との食い違いのうちひとつ | 文章・構成・キャラを一行ずつなでて終わります |
| どんな形で | 指摘ごとに原文を引用、数を制限、点数なし | 根拠のない印象の感想が長く返ってきます |
ここにもうひとつ足すと効果的です。わざとそう書いたことです。『黒魔法使いと言われましたが、得意なのは土掘りだけです』の第1話で、古い判定石が「土」を「黒」と読み違える場面は作品全体の前提です。韓国語では「土魔法」と「黒魔法」がほとんど同じ音に聞こえ、笑いはその聞き違いから始まります。これを伝えておかないと、AIは「判定石が属性を読み違えるのは説得力に欠ける」を短所に挙げるかもしれません。意図したことを先に書いておけば、AIはその前提を受け入れたうえで残りを読みます。
そのまま使える小説評価プロンプト6つ
原稿は1話ずつ渡します。何話も一度に渡すと、指摘が大まかないくつかにまとめられてしまいがちです。段落に番号をつけて貼ると、指摘がどこを指しているのか探しやすくなります。
1. はじめて読む読者の反応
あなたは(ファンタジーのWeb小説)をよく読む読者。以下の原稿をはじめて読むつもりで、読んでいるあいだの反応を記録して。 ・続きが気になったところ ・退屈で読み飛ばしたくなったところ ・意味がわからず読み返したところ ・読むのをやめたくなったところ(あれば) それぞれ段落番号と原文を一文引用して、理由は一行で。 褒め言葉や総評は書かないで。 ―――原稿――― (原稿)
評価のかわりに反応を聞くプロンプトです。「よい・悪い」より「ここで退屈した」のほうが、直す場所を正確に教えてくれます。「読むのをやめたくなったところ」が出てきたら、その前の段落から見直します。
2. 褒めずに短所を三つ
以下の原稿で、いちばん先に直すべき短所を三つだけ挙げて。褒め言葉は書かないで。 短所ごとに: ・原稿の文をそのまま引用 ・なぜ短所なのかを二行以内で ・直す方向を一行(差し替え案は書かない) わざとそう書いたことは短所に挙げないで: (例:判定石が「土」を「黒」と読み違えるのは作品の前提) ―――原稿――― (原稿)
数を三つにしぼると、AIは細かいものから並べず、大きなものから選びます。差し替え案を書かせないのは、直す方向を自分で決めるためです。文まで受け取りたいときは、AI小説プロンプト集の「推敲」プロンプトに続けてください。
3. Web小説の第1話チェック
以下は連載Web小説の第1話。投稿サイトで第1話だけ読んでブックマークするか決める読者の目でチェックして。 1. 原稿の冒頭で、主人公が誰で何が問題なのかがわかるか?わかるのは何段落目か? 2. 読者が続きを気にする問いは何か。それは何段落目で最初に生まれるか? 3. 最後の場面は出来事のまっただ中で切れているか、まとめて終わっているか? 4. 説明が三段落以上続くところはあるか? 問いごとにまず「はい/いいえ/どちらとも言えない」で答えて、根拠の文を引用して。 ―――原稿――― (原稿)
問いを決めておけば、AIが文章を褒める方向にそれません。この作品の第1話は、平民だと見下されていたクレイが黒魔法使いと誤解される瞬間、次の話の誤解につながるセリフで切れています。3つ目の問いは、こうした引きがきちんとした位置にあるかを見ます。
4. 設定との食い違い
以下の設定まとめと原稿を見比べて、原稿が設定と食い違うところだけ探して。文章や面白さは評価しないで。 食い違いごとに: ・原稿の文 ・食い違っている設定 ・「確実」か「疑わしい」のどちらか 食い違いがなければ「なし」とだけ答えて。 ―――設定まとめ――― (キャラの口調・能力・関係、守る設定) ―――原稿――― (原稿)
このプロンプトは話数が増えるほど役に立ちます。30話のキャラが3話と違う呼び方をしていたり、できないと決めたことをしていたりする箇所を見つけます。「なければなし」の一行があるからこそ、AIが無理に何かをひねり出さずにすみます。設定まとめのつくり方は、テンプレートと一緒にAI小説プロンプト集に載せています。
5. 二つの版のどちらがいいか
同じ場面を二通りに書いた。(読者)の目で、どちらがいいか選んで。 ・まずどちらかひとつを選ぶ ・選んだ理由を、原文を引用しながら三行以内で ・選ばなかったほうに生かせる文があれば、ひとつだけ 点数はつけないで。 ―――A――― (場面A) ―――B――― (場面B)
ひとつの原稿を評価させると褒める方向に傾きますが、二つのうちひとつを選ばせればどちらかは負けることになるので、場面を二通り書いて迷っているときに向いています。AとBの順番を入れ替えてもう一度聞き、同じほうを選ぶかどうかを見ると、より信頼できます。
6. どうしても点数がほしいとき
以下の原稿を次の項目で採点して。項目ごとに根拠の文を先に引用して、点数は最後に書いて。
[項目と基準]
導入:5点=最初の画面のうちに主人公と問題がわかる/3点=わかるが遅い/1点=わからない
キャラ:5点=セリフだけで誰かわかる/3点=主人公だけ見分けられる/1点=見分けられない
引き:5点=出来事のまっただ中で切れる/3点=切れるが予告がつく/1点=まとめて終わる
点数を高くする理由があいまいなら、低いほうを選んで。
―――原稿―――
(原稿)点数は基準があるときにだけ意味があります。1点・3点・5点がそれぞれ何なのかを先に書いておけば、直した原稿を同じ基準でもう一度採点して、よくなったかどうかを確かめられます。項目は作品に合わせて変えてください。
返ってきた指摘の選び方
AIの指摘を全部受け入れると、原稿がAIの好みに寄っていきます。次の順番で選びます。
- 根拠の文がない指摘はいったん置きます。 「全体的に緊張感が足りない」のように、どの文なのかを示せない指摘は、直す場所を教えてくれません。
- 新しい会話でもう一度聞きます。 同じ原稿と同じプロンプトで聞き直し、二回とも出た指摘から見ます。一回だけ出た指摘は、そのときだけの答えかもしれません。
- 意図したことかどうか確かめます。 指摘がわざと選んだことを指しているなら、直すかどうかは自分で決めます。次からはその意図をプロンプトに書いておきます。
- 人の読者の反応と比べます。 合評や感想欄で出た反応とAIの指摘が重なるところは、先に直すところです。
TypeTakでフィードバックを受ける
TypeTakは、エージェントと一緒に書くAI執筆エディタです。この記事のプロンプトでしていたこと、つまり褒め言葉ではなく直すところを聞くことを、ボタンひとつでするために使います。
詳しい使い方はフィードバックのガイドにあります。
よくある質問
AIがつけた点数は信じていいですか?
基準なしで受け取った点数は、参考程度にとどめます。同じ原稿でも聞き直すと点数が変わることがあり、点数が公募の結果を教えてくれるわけでもありません。点数がほしいときは、6つ目のプロンプトのように点数ごとの基準を決めておき、直す前と後を同じ基準で比べるのに使います。
原稿全体を一度に渡してもいいですか?
1話ずつ渡すほうがうまくいきます。まとめて渡すと指摘が大まかないくつかにまとめられ、どの段落を直せばいいのかがぼやけがちです。作品全体の流れを見てほしいときは、原稿のかわりに各話を一行ずつにまとめたあらすじを渡して聞きます。
まだ公開していない原稿を入れても大丈夫ですか?
サービスごとに、会話をサービスの改善に使うかどうかを決める設定があります。公募に出す原稿のようにまだ公開していない文章なら、入れる前に使っているサービスのデータ設定を確認しておいてください。投稿サイトや公募のAI利用の決まりは小説にAIを使ってもいい?にまとめています。
合評のかわりにAIの評価だけで足りますか?
AIは人の読者のかわりにはなりませんが、人に見せる前に大きな穴を埋めるには向いています。設定の食い違いやくり返しのようにAIが見つけるのが得意なところを先に直しておけば、合評では面白さやキャラのように人にしか答えられない話に時間を使えます。
参考
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実例でたどるウェブ小説連載
→韓国のウェブ小説『黒魔法使いと言われましたが、得意なのは土掘りだけです』1作を、TypeTakで構想から連載直前まで仕上げていく過程をそのままたどります。