6分

5,000字の第1話を「引き」で終える

前回は、ボードに部ごとの出来事を置きました。今回はいよいよ第1話を書きます。

ウェブ小説の第1話には、2つのものが必要です。プラットフォームが求める分量と、次の話を開かせる最後の場面。今回は、その2つをどう合わせるかをたどります。

1. 「1話書いて」 — 設定はエージェントが探して読む

1話書いて
ワールドを参照
ワールド参照(ノード: 魔力の乏しい平民の少年として見下されるクレイセクションスロット: ['出来事の内容', '誤解の進み方', '結果と変化', '圧力と検証']プロパティ参照セクション: 1)ワールド参照(ノード: クレイ・ローウェンセクションスロット: ['外見と態度', '性格と心理', '目標と動機', '能力と魔法', '人間関係', '口調', '学院での立場と評判']プロパティ参照セクション: 1)ワールド参照(ノード: ベルカディア王立魔導学院セクションスロット: ['教育環境', '施設と塔']プロパティ参照セクション: 1)ワールド参照(ノード: クレイの魔力量検査セクションスロット: ['出来事の内容', '誤解の進み方', '結果と変化', '圧力と検証']プロパティ参照セクション: 1)ワールド参照(ノード: 判定石が土魔法を音声で告げるセクションスロット: ['出来事の内容', '誤解の進み方', '結果と変化', '圧力と検証']プロパティ参照セクション: 1)ワールド参照(ノード: 土魔法の判定が黒魔法の判定と誤解されるセクションスロット: ['出来事の内容', '誤解の進み方', '結果と変化', '圧力と検証']プロパティ参照セクション: 1)

依頼はこれだけです。どんな場面か、誰が出てくるかを説明し直してはいません。エージェントは書く前に、第1話に必要なものをワールドから自分で探して読みました。チャットに出た ワールド参照 の行がその跡です。

  • ボードの第1部の出来事 — 「魔力の乏しい平民の少年として見下されるクレイ」「クレイの魔力量検査」「判定石が土魔法を音声で告げる」「土魔法の判定が黒魔法の判定と誤解される」
  • 人物「クレイ・ローウェン」 — 外見と態度、性格、目標と動機、能力、口調
  • 場所「ベルカディア王立魔導学院」 — 教育環境、施設と塔

前回、出来事カードごとに「何が起きるか・何を誤解するか・そのあと何が変わるか」を埋めておいたのが、ここで生きます。エージェントは出来事ごとにその欄を読み、第1話を組み立てました。

2. 書く前にプランを見る

エージェントはすぐには書かず、まず 執筆プラン を見せました。第1話を4つのビートに分け、ビートごとに何が起きるかと、どう書くかを記しています。

執筆プラン
1

第1話。魔力の乏しい平民の少年。ベルカディア王立魔導学院の入学試験会場に着いたクレイは、王族や貴族の受験生に囲まれ、平民の出だというだけで見下される。彼が試験に臨むのは、魔法使いとして名を上げたいからではない。資格を取って安定した職に就き、家族を助けたいからだ。

  • クレイの一人称に近い視点で、華やかな学院と自分の古びた身なりを対比させる。
⋯ ビート2・3 省略 ⋯
4

判定石がクレイの属性を音声で告げようとした瞬間、試験会場全体が静まり返る。クレイは「土魔法」というありふれた結果を予想しているが、古い判定石の不明瞭な発音と周囲の先入観が、まったく別の意味を生み出してしまう。

  • クレイの属性の結果を、読者がすぐには完全に確かめられないようにする。
  • 試験官と受験生の表情が驚愕に変わり、それまでの侮りが恐怖と警戒にひっくり返る。
  • 自分の名を呼ぶ声を聞いたクレイが、何が起きたのかを問い返す場面で終える。最後の一文は、次の話の誤解を直接開くセリフで締める。
ビート
第1話 — 魔力の乏しい平民の少年
5000–5500文字そのまま書く

最後のビートには、すでに「引き」が組み込まれています。結果を読者がすぐには確かめられないようにし、次の話の誤解を開くセリフで終える、という行です。第1話の結末を別に頼まなくても、先に決めた第1話のどんでん返し(低評価 → 誤解による高評価)を読み取り、その瞬間で切るように組んでいました。

カードの下の分量は 5000–5500文字 です。この5,000字前後という長さは、韓国のウェブ小説連載の1話分の形式に合わせたものです。自分が連載するプラットフォームで求められる長さに合わせて決めてください。

依頼の中で分量を指定しなければ、原稿に設定した執筆スタイルの基準の分量に従います。連載するプラットフォームに合わせて変えたいときは、この欄の数字を直してください。

ビートの文は、直接書き換えることも、+ ビート で追加することもできます。プランが気に入ったら そのまま書く を押します。

3. プランどおりに書く

執筆スタイルを参照
執筆スタイル参照執筆スタイル参照(名前: 執筆スタイル(ウェブ小説))
草稿を執筆中

「平民でも魔力が多ければ話は別だけどな。でも、あの顔じゃどう見ても……」

語尾は濁ったが、言いたいことはわかった。僕を見る目が服から手へ、手からまた魔力測定の列へと移っていく。

草稿を執筆中
書き終えたあと文体を整えている間 — 2行ずつしか見えない

草稿は、原稿の執筆スタイルを読んでから書き始めます。まずどんなスタイルがあるかを一覧で見てから、この作品のスタイル「執筆スタイル(ウェブ小説)」を読みます。

書いている間、カードには原稿が2行ずつしか流れません。エージェントがひととおり書き終えたあと、執筆スタイルに照らして自分で見直し、文体を整えているからです。整え終わると、カードが草稿に切り替わります。

草稿

第1話 魔力の乏しい平民の少年

ベルカディア王立魔導学院は、城門をくぐるとすぐに姿を現した。白い石壁の上に青い屋根が幾重にもそびえ、中央の塔の頂には王国の紋章が金色に刻まれている。朝日がその紋章に当たるたび、まぶしさに目がくらんだ。

僕は入口の前で、一度自分の服を見下ろした。着古して色あせたシャツ。肘の擦り切れた上着。母さんが夜なべして繕ってくれたズボン。裾についた土ぼこりは、はたいても落ちきらなかった。

反対に、試験会場へ入っていく子たちは誰もがきらびやかだった。銀糸をあしらった制服、宝石のはまった杖、家紋を刺繍したマント。その中に立っていると、僕の服だけが別の世界のもののように見えた。

「あいつ、平民じゃないか?」

⋯ 本文省略 ⋯

思わず声が漏れると、周りの視線がいっせいに集まった。

手のひらの下に振動を感じた。土に触れるときと同じ、弱くて鈍い動きだった。

判定石がふたたび鳴った。

【クレイ・ローウェン。属性判定……】

今度は、誰ひとり息の音さえ立てなかった。

試験官の手がゆっくりと下りた。

その視線が、僕の顔と判定石のあいだを何度も行き来した。

「記録官を呼べ」

「試験官殿?」

「今すぐだ。黒魔法適性者の確認手続きを始める」

僕は判定石から手を離せなかった。

「待ってください。今……僕の属性が黒魔法だと言いましたか?」

原稿 (1)/01開く(5005 文字)

プランの第1ビートどおり、華やかな学院と古びた身なりの対比で幕を開けます。服の裾の土ぼこりが、土魔法使いという正体を最初の段落から示しています。結末はプランの第4ビートどおり、次の話の誤解を開くセリフで切りました。完成した第1話は 5,005字。目標にした5000–5500文字の範囲に収まっています。

4. 書いた原稿はワールドに戻る

第1話を書く間に、ワールドになかった設定が生まれました。クレイがどこで育ち、どうやって土に慣れ親しんだか、といったことです。原稿を書き終えると、チャット入力欄の下の ワールド待ち にその原稿がたまります。

ワールド待ち — 原稿01がたまっている

整理する を押すと、エージェントが原稿で新しく生まれた設定を見つけ、ワールドに加えます。クレイ・ローウェンの項目には「出身と暮らしの背景」が新しくでき、その内容がどの原稿から来たのかを示す01が横につきました。

クレイ・ローウェンの項目に加わった「出身と暮らしの背景」 — 出典01

こうしておけば、第2話、第10話、第50話を書くときも、エージェントは第1話で決まった事実をワールドから探して読みます。連載が長くなるほど、この循環が積み重なります。ワールドを読んで書く → 書いた原稿から新しい設定をワールドに戻す。

今回使った文

  1. 「1話書いて」 — 場面の説明なしで頼む
  2. プランのカードで分量とビートを確かめて そのまま書く
  3. 書き終えたら ワールド待ち で 整理する

次回

次回は、書き上げた第1話を直します。フィードバックで強みと弱み、ワールドの設定と食い違うところを確かめ、文の単位で整えます。

この回で使った機能

詳しい使い方はガイドにあります。

この講座をつくった人
Oasis

『黒魔法使いと言われましたが、得意なのは土掘りだけです』をTypeTakで自ら構想して書き、その過程をこの講座にまとめました。

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